今日は、ボランティアフォーラム2019に初めて出かけた。
参加したプログラムは「難病当事者と語る“働く”ヒューマンライブラリー」だった。
ヒューマンライブラリについては、以前からとても興味を持っていて、私自身もやってみたいと思っていたものだった。
私が読んだ「本」は、「難病が私の仕事、私の生をよりよくしてくれるということ」だった。
私が持っている疾患のクラインフェルター症候群(KS)は、広義では難病で、常々「給料は出ないけれど生きるのが仕事」と言っている私には合っている本だと思ったからだった。
実際に、先天性の疾患で、悪くなってもよくなる可能性が低く、日々の生活は、いかに「死」までの傾斜を緩やかにするかが課題ではあるけれど、子供を作れないとか、出退勤が悪いとか、女性の更年期障害の状態を思春期からやっているとか、男になりきらないとか。。。あげれば、失ったものは数限りない。
ただ、もし生まれ変わったら健康な人として生まれたいか、と問われたら、またKSもありかな、とも思うのです。
なぜか。。。
多分、もし私が健康な体を持って生まれたら、傲慢な嫌なやつになって育ったろうな、とも思うからで、KSで生まれて失ったものは大きいけれど、得たものもたくさんある、ということなんだよね。KSと診断されて30年以上も経過した今だから言えること。
でも、30年以上も経過したから、それを超えたか、と言われると、全く超えてはいない。
今でもKSと診断されて、その後にあった数々の出来事を思い出す時、どれも超えていないと思えるほど落ち込むから。
さて、今日のプログラム。
<障害者手帳を持っていない辛い状況の人たちにスポットを当てた就業を考えている企業がある>
2012年に、障害者雇用をやっているIT業界を見学したことがあった。
本来一人がやる仕事を細分化し、それをそれぞれの作業を得意とする障害者に担当してもらって、一つの仕事を完成させるやり方だった。
また、それぞれの障害者が何が得意なのかを取得するのに、母親から話を聞いているところは目から鱗だった。
なので、その考え方は、使わせてもらっている。
ただ、ある部分、釈然としないところもあって、それ以上は関わらないようにしていたのも事実ではあった。
今回この会社の取り組みを聞いて、正直、嬉しかった。
まだまだテスト段階だというものの、待ち望んでいたものだったから。
実現のためにどれだけの費用や日数がかかっているだろうか。でも取り組んだ人たちの熱意なんだろうな、と。
そこに敬服した。
<ピアサポートの今後について>
私が今やっている活動だけれど、何年か前の性分化疾患の勉強会の時に聞いた「ピアサポート」という言葉の響がいいものだから、つい使ってきたけれど、そもそも今の活動はそんなにきれいなものではない。
もともとは、私が10年前に始めた、このブログが発端で、それを見た当事者の方々が私にコンタクトを取ってきて、それが結構、緊急的なものだったりしたから、すぐに会ったりネットでおしゃべりしているうちにここまでになったというだけのこと。
昨年の事件などで、昨年は全く何も手につかず、参加している人たちになんの有益な情報を流せなかったことは申し訳ないと思っている。
そして、その事件のあとで、今の状態を今後どうしていくか、というのは、私のなかで、とても大きな課題になっていた。
今のままでいいのか。
もちろん、治療が理想的な形になっていっているグループもある。これは成果と言っていいと思う。ごく少数の当事者についてだけど。
でもなぁ。。。
私自身が3年前に女性ホルモンと出会って、それを投与することで安定してきているから、余計に、何も動かなくなってしまったことや、SNSで情報の入手が簡単にできてしまうこともあるだろうとは思う。
一つの進め方としては、やはり形にしていくこと。団体として運営していくことで、一つは、原点に戻って、自分だけのこととして発信をしていくこと。つまりは現状維持。その二択を考えていた。
でも、今日色々な人と出会って話をしていく中で、もう一つあるのかな、と思った。
つまりは、KSに限定しないということ。
さっきの作業の細分化と同じ。
一つ一つの症状で分けていくと、KSに限らなくても、他の人の症状と同じな部分については、情報を共有することができるじゃん、ということ。
もちろん、それは、KSのグループとは別に進めていくことにはなる、むしろ私のライフワークの一つとしてだけど。
そもそも私は、プロフィールにこう書いているじゃないか。
「東ニ病気ノコドモアレバ…西ニツカレタ母アレバ…南ニ死ニサウナ人アレバ…北ニケンクヮヤソショウガアレバ…/」
そう、宮沢賢治の雨にもまけずの抜粋のように、KSに限っていないし、世の中に弱い立場中心の世の中になれば、と思っているんだ。
弱い立場の人が中心になれば、今健康でバリバリやっている人たちにも優しい世の中になるはずだ、と思っているんだよね。
これこそが、ずっと前から私が願っていることだったじゃないか、と。
そこに今日気がついた。
そして、それは、今日の「本」とのあとがき(プログラム後のお茶会)で話合ったことから出た答えだったよ。
んーん。
とても感慨深いプログラムだったし、出会いだったな、と。
良い本に出会えました。
一生の宝の一つになりました。
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